一般社団法人 生命保険協会 導入事例
「業界共通試験」の受験機会の増加による受験者の利便性向上などを目的に2020年4月にCBTを導入。「外貨建保険販売資格試験」が新たにスタートしたことによる受験者の急増にも、問題なく対応することができました。
サービス導入団体 | 一般社団法人 生命保険協会 |
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CBT導入試験 |
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試験規模 |
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導入前の課題 |
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年間50万人以上が受験する大規模試験。
紙による一斉試験は準備や管理の負荷が大きかった。
―生命保険協会の事業内容とCBTを導入している試験について教えてください。
―「業界共通試験」とは、どのような試験ですか?また、CBT導入前に抱えていた課題について教えてください。
生命保険を販売するには、業界共通試験の一般課程試験に合格することが必要です。さらにステップアップのために、専門課程、応用課程、生命保険大学課程の試験があります。また、変額保険販売資格、外貨建保険販売資格の試験があり、合格しないとそれぞれの保険商品を販売できません。
このように、生命保険の募集人には欠かせない試験のため、年間で延べ40万人以上の受験者がいます。重要な試験ですが、受験人数も会場も多いので、受験日時を固定した紙による一斉試験では、受験者にとって受験したいときに受験できず、また、運営面でも、代理店の受験者の申込手続き、会場手配や問題・解答用紙の準備や管理などが非常に大変でした。そのため、一般課程試験は月に1回のみの実施、その他は年3〜4回実施するのが限界でした。紙の解答用紙は紛失などのリスクがあることも課題でした。
さらに、自然災害等が発生し試験が中止になった場合に、受験者は、翌月以降の試験日に改めて受験せざるを得ないことも課題でした。
これらの課題を解決するために、2020年4月からCBTを導入することになりました。
CBT導入で受験機会の増加。
コロナ禍の試験再開もスムーズに。
―CBT導入にあたって、どのような準備をしましたか?
業界共通試験は複数の試験があり、受験資格がそれぞれ異なったり、同時受験可能な試験があるなど、いろいろと不規則な面があります。そのため、プロメトリック社と協力し、当協会専用の予約サイトを構築しました。また、プロメトリック社の試験開発支援サービスを利用して、試験によっては試験時間の短縮を行うなど、CBT導入に合わせて準備を進めました。
―2020年4月はコロナ禍で緊急事態宣言が出されていました。想定通りにCBTによる試験は実施できたのでしょうか?
緊急事態宣言が出ていた2020年4月から5月下旬まで業界共通試験そのものを中止せざるを得ない状況でした。しかし、プロメトリック社が振替試験を実施するなどの対応をしてくれたので、大きなトラブルが発生することもなく順調に運営できました。もしCBTの仕組みを導入していなければ、コロナ禍での試験再開はさらに遅れていたと想定されるので、結果的にCBT導入をコロナ禍前に進めておいて本当に良かったと思っています。
―紙による一斉試験と比較して、CBTにはどのようなメリットを感じていますか?
導入した一番のメリットは、受験機会の増加です。試験ごとに開催月が設定され、年間受験可能回数を上限として受験できるようになりました。それまでは一般課程試験だけが毎月受験することができたのですが、専門課程などの受験者が多い他の試験も、毎月受験することが可能になりました。先ほどお話ししたコロナ禍や自然災害が発生した場合でも、振替試験を実施する等により、受験機会を妨げることなく運営できるようになりました。
また、解答用紙をスキャナーに読み込ませるなどの作業時間の削減、解答のデータ管理化による情報漏えいリスクの低減など、ペーパーレス化による運営の効率化が実現できました。
急な受験者増も、プロメトリック社の
会場キャパシティと適切な運営で対応。
―どこがプロメトリック社の強みだと感じていますか?
プロメトリック社の強みは、さまざまな状況に対して柔軟な試験運営ができることだと思います。業界共通試験の中でも外貨建保険販売資格試験は2020年10月からスタートした新しい試験で、試験開始から2022年3月までは受験者が数十万人規模で急増しました。これは2022年4月から外貨建保険を販売するために、外貨建保険販売資格試験の合格とその登録が必須になったことが理由です。急に受験者数が増えるので心配していましたが、大きな問題もなくスムーズに運営することができました。プロメトリック社の豊富な経験に基づく適切な会場キャパシティ運用のおかげだと感じています。
また、対応件数が年間で約25,000件にもなるコンタクトセンターの運用も的確で、受電率も高くて受験者を待たせることなく対応していただけることも助かっています。自然災害などで試験会場に向かうことが急に難しくなった受験者に対しても、速やかにフォローしていただいています。CBT導入当初はコロナ禍で感染者や濃厚接触者は急に受験できなくなることが頻繁に起こったのですが、その際もスムーズに振替日を案内したり、追加座席を用意するなど、きめ細かく対応していただけました。
CBTによる試験を通して
生命保険募集人の資質向上に取り組みたい。
―今後はどのように「業界共通試験」を運営していきたいと考えていますか?その中で、プロメトリック社と取り組んでいきたいことを教えてください。
プロメトリック社の担当者には、当協会に寄り添った対応をしていただいています。試験運用のルールは細かく変わるのですが、その周知案内も速やかに対応してもらっています。試験運営のプロフェッショナルとして新しい提案も継続的にしてもらえるので、今後もより良い試験運営に向けて一緒に取り組んでいければと思います。
今後、生命保険業界は顧客本位の業務運営がより求められていきます。その中で生命保険募集人の役割は、ますます重要になっていきますので、CBTによる試験を通して生命保険募集人の資質のさらなる向上に取り組んでいきたいと考えています。
※掲載内容は2023年8月の取材当時のものです
今回の取材にご協力いただいたお客様
一般社団法人生命保険協会
業務教育部 業務教育グループ グループリーダー 奥村 匡輔 様
業務教育部 業務教育グループ 赤根 直樹 様