一般社団法人 金融検定協会 導入事例

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全国約40万人の金融機関職員を対象に、業務に直結した数々の試験を実施している一般社団法人金融検定協会。CBTの導入により受験者だけでなく、所属職員の受験状況を管理されている金融機関の人事ご担当者にも多くの利便性をもたらしました。

サービス導入団体 一般社団法人 金融検定協会
CBT導入試験
  • マネー・ロンダリング対策実務2級、3級
  • 環境省認定制度「脱炭素アドバイザーベーシック」認定 SDGs・ESG金融
  • 個人情報取扱者
  • マイナンバー取扱者
  • 決算書分析3級
  • 人材ソリューションアドバイザー
試験規模 通年開催
受験者数:年間3万人
導入前の課題 2019年から始まった働き方改革により、金融機関職員である受験者の利便性向上と受験機会の増加が求められるようになった。

勤務時間外に多くの資格試験を受けなければならなかった金融機関職員。2019年から始まった働き方改革は、試験の在り方に大きな変化を促しました。

一般社団法人金融検定協会では、金融機関の各職能分野における職務遂行能力を評価する試験を数多く運営しています。PBT(紙試験)は毎年春と秋の2回実施され、1回につき約15,000人の金融機関職員が受験しています。カーボンニュートラルやSDGs・ESG金融などをテーマにした新たな試験が導入される中、2024年度は18科目(そのうちCBTは8科目)の試験実施を予定しています。現在、当協会を含め3つの団体が金融機関職員向けの試験を実施していますが、当協会では業務に直結した試験を中心に扱っています。

これまでは各団体とも紙試験のみでの試験開催でしたが、5~6年ほど前から徐々に紙試験とCBTのハイブリッド方式が登場し始めました。しかしお客様である金融機関側からは「誰がいつどこで試験を受けたのかがわかりにくい」、「団体成績を把握できない」といったお声もあり、CBTの評判が奮わない時期がありました。お客様からのそのようなお声はこちらにもいただいていたため、その当時は当協会ではCBTの導入検討を具体的に進めていませんでした。

こうした状況に変化をもたらしたのは、コロナ禍前の2019年から始まった働き方改革でした。金融機関によっては、当協会の試験合格を昇格・昇進の要件にされているケースがあります。働き方改革の施行により、受験者の利便性向上と受験機会増加に関するご要望をそれまで以上に頂戴するようになったため、当協会もCBT導入を検討し始めました。

複数のCBTサービス提供企業を検討し、最終的に実績・会場数の多さ・セキュリティの安心感から、プロメトリック社をパートナーに選定

CBT導入のパートナー選定では複数の企業に声を掛けさせていただきましたが、最終的に実績・会場数の多さ・セキュリティ基準の高さからプロメトリック社に決めました。セキュリティの安心感はシステム面だけでなく、会場運営にも感じました。顔写真を貼り付けた受験票を事務局が発行しなくとも、プロメトリック社の試験会場では免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの公的本人確認書類によって受験者本人であることを確認します。
2022年末からCBT導入に向けた準備委員会を発足し、2023年4月より本格的にプロジェクトが始動しました。CBTによる試験配信の準備が整い、毎年発刊する「通信教育・検定試験総合ガイド」でCBT試験の開始を広く周知したのが2023年11月でした。

CBTの導入前に私達が課題としていたのが、団体申込と団体成績の表示です。これは前述の他団体様がCBTを開始した5~6年前には実現されておらず、受験状況と合否は個々の受験者単位でしか確認できませんでした。受験者が合格証を人事に持って行くことで初めて人事システムに合格が登録されていたため、多くの金融機関で人事の業務が煩雑になっていました。当協会がCBTに舵を切るには、お客様の要望が高い団体申込と団体成績の表示が必須と捉えておりました。この機能を実装するためには、当協会の団体情報管理システムで必要となるデータをプロメトリック社より提供いただくことが必須であり、実現に向けてプロメトリック社とプロジェクトを推進しました。実装できたこれらの機能は、お客様に広くご活用いただいています。

その他に、環境省の認定制度のひとつとして、特定の教育を受けなければ受験資格を得られない新たな試験が設けられたため、急遽プロメトリック社に有資格者を識別する機能追加を依頼しました。国が主導する金融機関職員向けの試験としては、これまではあまりない形式でしたが、時代に合わせて新しい試験が次々と登場する中で、求められる機能をプロメトリック社と共に用意できたと思います。

CBTの導入で受験者だけでなく、人事にも大きな利便性が生まれている。社会における試験のCBT化は今後も加速していくと予想

CBTの導入で感じているメリットのひとつに、再試験のしやすさがあります。紙試験の場合、マークシートの読取りなどの採点作業後、通常1~2か月程度してから合否が通知されますが、CBTでは自動採点後の即時通知が可能です。このスピード感のおかげで試験に合格できなかった受験者は、おおよそ2~3日後には再試験の申込をしています。
受験者が変更とキャンセルを自由にできるのも大きなメリットです。紙試験では変更やキャンセルは通常2~3週間前までしか受け付けていませんが、CBTでは試験日の3営業日前まで可能です。これは紙試験で発生していた変更やキャンセルのコスト削減にもつながっています。

今回のCBTの導入を契機に、当協会を選んでくださる新たなお客様も増えてきました。これは職員が好きな時に好きな場所で試験を受け、人事が簡単に合格を把握できる当協会のCBTの便利さが周知されてきたととらえています。プロメトリック社は47都道府県120都市に試験会場を持っているだけあって、会場リストを眺めるたびに「こんなところにもあるのか」と驚きます。この会場の選択肢の豊富さもお客様が当協会を選んでくださる要因になっていると感じます。

IT化が進む現状では、国が新たに設ける資格試験にCBTを前提としているものが出始めています。さきほどお話した環境省認定制度試験がそうだったため、この試験が始まるタイミングでCBTを導入できたことは当協会にとって非常にプラスでした。

CBTの進化系であるIBTを視野に入れた、グローバルに展開するプロメトリック社のアドバイスに期待

現在CBTは7科目ですが、今後全科目に拡大していくことを計画しています。まだ紙試験を希望する受験者もいらっしゃるため、しばらくはCBTと紙試験を併用しますが、将来的に紙試験の希望者が圧倒的に少ない場合、CBTのみとなる試験も出てくるかもしれません。

当初期待していたプロメトリック社の強みを、CBTが動き出してから改めて確認しています。今後はCBTに留まらず、受験者が会場に足を運ばずに自宅や会社にいながら試験ができるIBT(Internet Based Testing)についてもアドバイスをいただきたいです。IBTについては、お客様からもお問い合わせがあるテーマです。「自宅のPCにカメラがついている受験者も多い」「試験を受けている最中のチェックでAIを活用できないか」など、具体的な声もいただいています。プロメトリック社には、こうした分野で新しいサービスがローンチされるニュースをいくつか聞いていますので、今後も引き続き期待しています。

今回の取材にご協力いただいたお客様

一般社団法人 金融検定協会
理事長 星野広友 様

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